楠社長のお気に入り
「ハックシュッ…うぅ」


次の日。案の定風邪を引きました。


お店から家まで20分の距離だしって考えが浅はかだったかも。

ーピピピッ


「…………37.8。今日バイト休みで助かった…」


体温計を置き、布団の中に潜った。


「あの人…大丈夫だったかな」


そんなこと考えても意味がないのはわかってる。この先会うことなんてないんだから。でもやっぱりあの後大丈夫だったのか気になってしまう。


ブー…ブー…ブー…


「ん?誰…?」


スマホ開くと店長の文字。


えぇ。いきなり出勤だったらどうしよう。熱あるし無理だよ。


「はい、三月です」


『あっ、まゆちゃん!?お休みなのにごめんね!今社長が来てて、スタッフに挨拶をしたいんだって。今から来れるかな?』


社長って…あのスワンを創った楠社長??


「えっと…すみません店長。私風邪を引きまして、申し訳ありませんが社長へのご挨拶はまた機会があったときにでも…」


『えっ!?そうなの!?それなら無理しないで大丈夫だよ。お大事にね、まゆちゃん』


電話を切り、再び布団にくるまった。社長への挨拶は確かに大事だけど、無理に行って移したりしたら大変だもん。視察ならまたあると思うし、その時でいいよね。


「さて、寝よ…」


目をつむると相当辛かったのか、すぐに眠りについた。


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