楠社長のお気に入り
「ご迷惑をお掛けして本当にすみませんでした!」


「大丈夫だよ。風邪治って良かったね。今日からまたよろしくね」


「はい!よろしくお願いします」


頭を下げ店長室を出ると、ふぅ…と息を吐く。あの後なかなか熱が下がらず、3日も休んでしまった。久しぶりに休めたから良かったと言えば良かったけど。


カウンターに立つとお昼のピークが過ぎた頃だからか、店内は落ち着いていた。


「まゆおはよう!」


「おはよう。3日も休んでごめんね」


声を掛けてきたのは新谷 清香(シンタニ サヤカ)。このカフェで一番の仲良しの明るい女の子。


「大丈夫だって。まぁ、あのイケメン社長に会えないなんて災難だなぁとは思ったけど」


「イケメン社長?あぁ、挨拶に来たんだっけ?別に私は会えなくてもいいけど…」


ぶっちゃけイケメンとか興味ないし。


「えぇ。そんなこと言うのまゆくらいだよ」


「はいはい。12番テーブル行ってきまーす」


どんな人がここを創ったのかは気になるけど、イケメンとか本当に興味ないんだからしょうがないよね。


「失礼します。お待たせ致しましたコーヒーでございます」


「ありがとう。それにしても別に会えなくてもいいなんて酷いね。三月まゆちゃん」


なんで…私の名前。あっ、ネームプレートか。ってことは新手のナンパ??


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