楠社長のお気に入り
今日から3ヶ月、ここが私の部屋…。広すぎて驚いたけど、零さんに感謝しないと。でも…


「幹さんにもちゃんと居候の許可もらわないとだめだよね」


ここは零さんのお家だけど、幹さんのお家でもあるんだから。


片付けを後回しにし、とりあえず零さんに教えてもらったリビングへ向かった。


リビングの扉を少し開けるとテレビの音が聞こえた。扉の隙間から覗くと、幹さんはソファーに座り映画を観ている。そっと近づき、声をかけると幹さんの体はビクッと震え、ものすごく睨まれた。


「あ、あの幹さん…お話が…」


「近づくな!!」


幹さんの怒鳴り声で一歩前に出していた足を引っ込めた。


また怒らせちゃった…。


「零から聞いただろ。俺は女が嫌いなんだ。近くにいるだけで虫酸が走る。だから近くにくんな」


「は、はい。でも幹さんにも許可をもらわないとって…」


「は?許可?」


「ここは幹さんのお家でもあるので、居候の許可を…」


「無理」


うっ…。やっぱりそうだよね。この家に女がいるってだけでも幹さんにとっては苦痛なんだもん。零さんに友達のとこに泊まるとか嘘ついてネカフェ行こうかな。まだ荷物そのままだし。




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