楠社長のお気に入り
「うん。我ながらいいな。まゆすけ。この呼び名なら呼んでやってもいいけど。どうする?」


意地悪そうな笑みで聞いてくる幹さんに困惑する。


どうする?って、まゆすけしか選択肢ないじゃないですか…。


「……まゆすけでいいです」


「それじゃあ今日からあんたは、社長の恋人兼秘書の犬な。よろしく」


えっ?えっ??えっ???今、何て言ったの?秘書の…犬?


「ちょっと待ってください!秘書の犬ってどういう事ですか!?」


「だってさ、あんたをここに置いて得すんのは零だろ?女を住まわせるってだけでも嫌なのに、俺にメリットないのってなんかズルくね?だから、今日からあんたには俺のパシリちゃんになってもらうってわけ」


そ、そんな…。というか幹さん、女嫌いで口が悪いだけかと思ったのに、まさか性格まで悪かったなんて…。零さんが不安だったのって女嫌いって事じゃなく、この性格の事だったのかも。確かに仲良くなんて無理だ…。


「言っとくけど、零に相談するとか変なこと考えんなよ。あいつにこれ以上迷惑かけたくないならな」


「わ、わかってますよ…。零さんには…言いません」


「わかればいいんだよ。それから、ご主人様の命令は絶対だからな」


幹さんがそこまで言うと、ガチャッと扉が開き、部屋で仕事をしていた零さんが入ってきた。


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