楠社長のお気に入り
部屋に着くと幹さんが扉を開き、真っ先に零さんが入っていく。


「どうぞお入りください。リビングへは社長がご案内しますので」


「あ、ありがとうございます。おじゃまします」


緊張しながら部屋に入るまどかを見て、私も入ろうとすると幹さんに止められてしまった。


「えっと…幹さん?」


「なぁ、まゆすけ。あいつ弟だろ?」


「え!?」


な、なんでわかったの!?誰も気づかなかったのに。


「やっぱな。目元似てるし、警戒してる時の顔が全く同じ。つかお前余計なことしないでくんない?」


「余計なことですか?」


なにかしようとしたかな?


「弟くんに零のこと恋人って説明しようとしただろ」


あぁ…。そしたら幹さんがお店に迷惑かかるって止めてくれたんだよね。


「どうせその流れで零にも弟だって説明しようとしたんだろ?イライラしてる零見るの楽しいんだから俺の楽しみとんなよ」


はい?


え?まさかとは思うけど、自分の楽しみのためだけにあんなこと言ったの?


「早急に着替えてきてと言ったのは…」


「ん?別に意味はねーけど。そしたらまゆすけ髪ボサボサになりながら来たから、忠犬みたいでなんかウケた」


助けたんだから早く着替えてこいってことじゃなかったんだ…。全然わかってないじゃん私。




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