楠社長のお気に入り
「ふぅん。そっちが本性なんだ。俺、今の秘書さんの方が話しやすそうで好き」


「秘書さんじゃなくて幹でいいよ。ブラコンくん」


一気に仲良くなった二人を見ていると、零さんは無言のまま椅子から立ち上がり、リビングを出ていってしまった。


二人は楽しそうに話してるし、零さんのとこに行こう。


話の邪魔にならないようにリビングを出ると、零さんを追いかけた。


「零さん!」


部屋に入ろうとする零さんに声をかけると、腕を引っ張られ、部屋に入った瞬間抱き締められた。


「あの、零さんすみません。早くまどかが弟だって言うべきでしたよね」


頭を押さえられて顔が見えない。


「まゆは謝らなくていいよ。余裕がない俺が悪いんだ。昨日といい今日といい、まゆが俺以外の男と仲良くしてるだけでイライラする…たとえ弟だってわかっても」


それって…ヤキモチだよね?


どうしよう。嬉しくて口元が緩んじゃう。


ギュッと抱き締め返すと少しだけ抱き締める力を緩めた零さんが私の顔を見る。


「零さん…ヤキモチやいてくれて嬉しいって言ったら怒りますか?」


「そんな顔で見ないで。もっと離したくなくなる…」


「そんな顔?」


私どんな顔してるの?


耳元に近づいた零さんの息が耳にかかる。


「欲情してる顔」


そう言うとかぶり付くように零さんは私の唇を奪った。



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