恋を失い愛を知りました。
コンコン
「どうぞ」
「今日からお世話になります」
婚約したため同じ部屋に暮らすことになり
実家から持ってきた荷物を
ヒロトさんの部屋に運ぶ。
「そんなのあいつにやらせればいいだろ」
あいつとは私の使用人さんの田村さん
結婚が決まってすぐ商人が私にもついた
庶民の私には使用人というものを
どう使うべきかなど教わったことがない。
お買い物の時とか車を出してもらったり
それだけで贅沢すぎるほどなのだから。
「車は出してもらいましたから」
「そうか。俺は仕事に戻る」
「わかりました。いってらっしゃい」
私は黙々と荷物の整理を始めた。