恋を失い愛を知りました。
「じゃあ、食べ始めるか」
「いただきます」
ヒロトさんに向き合うと決めたのはいいものの。
干渉もなし、面倒なこともなし。
なかなかの制約がかけられている。
何か話したいことといえば
今日のショッピングモールでいた女の人のこと。
だけどこれこそ面倒なことの一つになるだろう。
んー……
「美味しいですね」
絞り出して出た言葉はこれくらい。
「あぁ。」
ね、そうだよね。
返す言葉なんてそれくらい。
返事こそ面倒ならば
もう話す勇気さえなくなってしまう。