恋を失い愛を知りました。




「会社ですか?」




「あぁ。タクシー呼んでくれ」



もう夜だから使用人の方は帰ってしまっている。



「わかりました」



サヨさんは素早くタクシー会社に電話をした



「すまない。」



「え?あ、はい。お気をつけて」



私は今起こった出来事に驚いてしまった。



ヒロトさんから“すまない”なんて一言が…



動揺してしまった私の返事は
きっとそっけなかっただろう。

それが心残りになりつつも




足早に仕事場に向かうヒロトさんの背中を見送った



その時の私の中には昼間見た光景は無くなっていた



こうやって少しずつ会話が増え
夫婦らしくなっていくのかと思うと
私達の未来に少しの兆しが見えた気がした。



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