恋を失い愛を知りました。
電話の内容は新しく契約を結ぶはずだった
大手企業の社長秘書が急に断りの連絡をしてきたとの事だった。
夜遅くに行きつけの店を開けてもらい
会食をとりつけた。
といっても社長の話をずっと聞いてるだけ。
初めから契約を切る気はなく、思いつきだそうだ。
ふざけんな…
こっちはどんな思いで家を出てきたと思ってるんだ
そんなことを思いながら飲んだせいか
酔いが早く回ってしまったが
なんとか契約も結ぶことができて事は治った。
ふぅ、やっと帰れる。そう呟いたら
お店のオーナーに意外だと言われた。
そりゃそうか。
俺は結婚してからも何人もの女と関係を持った。
悠未も知っている。
そんな俺が早く家に帰りたいなんて
誰もが驚くだろう。
だけど玄関で
“いってらっしゃい”と切なげにいった悠未の顔が
頭から離れなかった。
やった女の顔すら忘れてしまう俺が
なんでそんなことを思うのかと聞かれると
何故だか自分でもわからない。
ただ、悠未の待つ家に帰りたいと思った。
まぁ、俺の勘違いかも知れないが。
そんな不安を少し抱えながら家に帰った。