恋を失い愛を知りました。
目の前にはオレンジの照明で彩られた
荘厳な雰囲気の宿。
「おかえりなさいませ」
綺麗な着物を着た仲居さんに出迎えられる
「先ほど予約した佐藤です」
「さ!さとう?!」
「シっ!!」
急に口元を押さえられ
私はとっさに黙った
「佐藤様ですね。こちらでございます」
仲居さんに案内され、部屋に入った。
「夕食は何時頃にいたしますか?」
「七時で」
「かしこまりました。
ごゆっくりなさってください」
私は軽いお辞儀をして
数々の疑問を聞けるようになるのを待った。