敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
実は私は観覧車には乗ったことがない。
乗る機会はあったけど、風が強かったり混んでいたり、周りの友人の中に高所恐怖症の子がいたり。
なので乗ったことがないまま今日まで来ていた。
「結構並んでるな」
観覧車の乗車待ちの列の最後尾に並び、やや呆れたような声で室長が呟く。
「やめておきますか?」
「いや……。意外とスムーズだしこのまま待とうか」
会食の時間に遅れることを室長は気にしているかと思い声をかけたけど、結局はこのまま乗ることになった。
きっともう少し遅い時間なら、デートの締めくくりでカップルなんかが多そうだけど、今の時間は観光客のような人達が結構いて、3~4人で乗り込んでいくので順番が回ってきたのは思っていたより早かった。
「わあ……! 見てください、景色がすごいです……!」
地上からは見えなかったけど、川沿いに隣接するこの観覧車からは対岸にある関西圏最大のテーマパークが確認できて、私のテンションはかなり上がってしまった。
「あ、す、すみません……。私、観覧車乗るの初めてなのではしゃいじゃいました……」
向かい側に座る室長は平然としているのに、自分のはしゃぎ具合が痛々しいかと反省する。