敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

褒められている訳ではないけど、ふっと気持ちが軽くなるような、そんな言葉を掛けてくれる優しさが室長にはある。

その辺りは仕事中もプライベートも変わらないところなんだろうな。


「少し話が逸れてしまったが、君の希望は俺達の秘密を知った上で、誰にも話さないからこのまま秘書を続けたい、だったな?」

「はい」

「もちろんそれは可能だが、君は今まで通りの状態で勤務できるか?」

「え……?」

「君の性格からして、いつ異動させられるんだろう、と気にしながら過ごすことになるんじゃないかな」

「あ……」


言われてみて、はっと気付く。
私ならきっとそうだ。

異動させられたりクビにはしないと言われたところで、何の保証もないのに安心して働けるかな。
心のどこかで不安に思ったまま仕事をして、それが原因でミスをして。

もう次はない、と思いながら頑張る、なんて今以上にキツいかもしれない。


「あ、あの……たぶん、今より悩んだりするかもしれないです」

「だろうな」


秘書を続けたいけど、続けても自分の性格上キツくなっていくと知りつつ秘書として働くというのはどうなんだろう。
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