敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「あ、あの、室長はそれでいいんですか?」
「もちろん。俺は誰でもいいんだ」
「……誰でもいい……。地味に傷付きますね……」
「悪い、変な意味じゃない。俺は元々結婚するつもりはないのに周りが放っておかない。それに母方の実家から見合い話が来たら母の立場上どんな話も受けざるを得ないんだ」
そう言って室長は事情を説明するけれど、さっきの『誰でもいい』発言はきっと本心だ。
そして『愛情を知らない男』も室長自身のことだと思う。
それを踏まえた上でとしても室長が私と婚約、つまりフィアンセになるというのは魅力的過ぎるけど。
「でも室長が私のことよく知らないように、私も室長のこと何にも知りません。なのに婚約なんて……」
「それなら心配いらない。そんなもの一晩を共に過ごせばすぐにわかるさ」
「な、何を言って……」
「どうする?俺は今夜でも構わないが?」
こんなに素敵な人からそんな誘い文句と共に挑発的な目で見つめられると、身体の奥から溶けてしまいそうになる。
自分の魅力を理解して自信に満ちた男性はそれだけでも魅力的なのに、室長ときたら美しすぎる顔まで持ち合わせているのだから手に負えない。