敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「その、昨日のお話のことで……」

「ああ、俺に抱かれる気になった?」

「ち、違います!な、なんでそんな……」

「なんだ違うのか」


そう言ってさも残念そうな表情を見せる室長。
そんな顔されたら、私がその気になるのを待ってたみたいに見えるからやめてほしい。
まるで私が室長にお預けさせてるみたいで勘違いしそうになるから。

それに室長から思いがけない先制パンチを喰らったせいで、何をしにきたのか一瞬忘れそうになってしまった。


「で?業務時間中にしなきゃならないぐらいの話って何」

「え……、いや、だって私、室長の連絡先とか知らないので仕事中に話すぐらいしか手段がなくて……」

「ああ、そういえばそうか。じゃあ今登録したらいい。ほら」

「え、あの……」


ほら、と言って室長が私に向かって差し出したのは黒いスマホなんだけど、社用のスマホとは明らかに色が違う。


「これに登録しておけばいい」

「あの、私がするんですか?」

「そのつもりじゃなきゃ差し出したりしない」

「で、でも……」

「早くしろ。いつまでこうさせるつもりだ」


そう言って室長は私を急かすけど、室長の私用のスマホを私が操作するとかいいのかな、と躊躇していると。
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