好きです、先生
☆第1章

出会い


コーヒーの匂いがほんのりする、私の大嫌いな場所、職員室。


パソコンのキーボードを叩く音、プリントをめくる音、電話の着信音、先生同士の会話……


いろんな音が聞こえてくる中、大好きな低い声が私の耳に届く。



「まーた昨日授業休んだでしょ」



呆れた顔をしつつも昨日の授業で使ったプリントをごちゃごちゃした机の上から探し出してくれる大好きな人。



「仕方ないじゃん。風邪だったの!」


「はぁぁ。お前の風邪は永遠に治らないの?それとも俺の授業の時だけ菌が元気になってんの?」


そう言いながら、無事に発掘されたプリントで私の頭を叩く。


分かってるんだ。受験生の担任をしている先生が私1人のために時間を割くことはできないって。


先生が笑顔を向けてくれるのは私だけじゃないって。



でもね。先生に会いたくて、分からないふりをして質問したりしてしまう。先生に名前を呼ばれたくてわざわざ職員室に行ってしまう。



先生?迷惑かけてばっかりでごめんね。




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