君と小脳と僕
ーーー15年前
彼女との出会いは面白い事はなにもなく、単純に同じ読書部だった
当時は僕が17で彼女は16
読書部というのは、小説同好会でこの日はその類の歓迎パーティー。
場所はたしか某カラオケ店とかだったと思う
僕は、この日にはじめて彼女の存在を知った。
彼女は高校を入学して半年が経ち、落ち着いたこの12月に読書部に入ってきたらしい。
これは彼女の入部歓迎も込めてのパーティーだった。
小説同好会と言っているが小説同好会ならぬ、なにかとわけを付けてみんなでわいわいファミレスやカラオケなどで遊びたい人だけの集まり。
そんな僕は唯一この部の小説好きだった。
部員は全学年男女合わせて10人ほど。
部員の中に僕の親友(小説は読まない)もいるから
こうゆう集まりがある時は行っている。
主役の彼女は僕の同期や先輩に歓迎されつつ、お酒を強要されていた。
(...おいおい、おまえらまだ高校生だろ。)
彼女の前にはストローのささったグラス、恐らくお酒は好きではないし、呑んだことも無いだろう
僕は静かに彼女と彼らの間に入った
「おい、やめとけって」
「なんだよ洋平つれない事ゆうなよ〜」
「困ってんだろ?お前らも酒なんて呑むなよ」
「チェっ、じゃあ洋平が呑めよこのビール」
「呑まねーよバカ」
僕は先輩から泡のなくなったビールを受け取った。
どうやら僕が気付く前から強要していたみたいだ。
「、、、あの、ありがとうございます」
か細い壊れそうな繊細な声を彼女が発した
彼女はアルコールははいっていないのにほんのり耳や顔が赤く少し涙目だった
その時初めてしっかり彼女の顔を見た
一目惚れだった
「、、あの?」
言葉を発しない僕に(言葉が出ない)彼女は首を傾げながら
「私、清野すずなっていいます。小説が大好きです。
これから宜しくお願いします!」
もう一度言おう
一目惚れだ。
「、、俺は門脇洋平。
よろしく。」
この日の会話はこれで精一杯
これが僕と彼女の始まり。