君と小脳と僕
次の日、高校の授業が終わってからいつも通りサークル部屋へ。
前文でも伝えたが、小説好きなど部員にはいない。
小説の本が並べてあるこの部屋にはもちろん誰もいない。
しかし、この誰もいない少し埃っぽい空間で小説を読む事が好きだった。
栞の挟んでる小説をとり、ガタついた椅子に腰掛ける。
「......」
小説の内容が頭に入ってこない
理由はわかっていた
昨日の夜から彼女が頭から離れない
こんな事ははじめてだった。
初恋ではない、人並みに恋愛も恋人だって何人かいた
でもこんなにこじらせたのははじめてで僕は少し動揺している
これはある意味初恋なのかもしれない。
(仕方がない、今日はもう帰るか、、)
その時だった
ガラガラガラ
普段僕以外開ける事のない扉が開いた
「こんにちは〜」
そこにいたのはすずなだった
「あれ?ほかの皆さんはいないんですか?洋平さんだけですか?」
「、、、名前覚えててくれたんだ。
てか、すずなちゃん知らないの?ここの読書部って名前だけで小説好きなんていないよ?」
「えっ?嘘‼︎ そうなんですか??
ショック、、、昨日変だと思ったんです。
みなさん、小説の話なんて一切していなかったので、、」
そう言って彼女は下を向いた
「ここの部の事は結構有名だよ?」
「え〜、洋平さんはいつもここに?」
「うん、俺はここで小説読むの好きだから。
ここには小説もいっぱいあるし、こういう部なのは知ってたけど、入部しないとここの部屋入れないから入ったんだよね。」
「じゃあ洋平さんは小説好きなんですね!
よかったあ〜小説好きな人がいて」
彼女は目を輝かせていた
しかしこの時は格好をつけてしまった
僕も彼女と同じ思いで1年半前このサークルに入った
この事は後に彼女に言ったと思う。