君と小脳と僕
この日はもう帰ろうと思っていたが、彼女のおかげで予定は変わった
「洋平さんはもう帰るんですか⁇」
「いや、トイレに行こうかと思って、、」
持っていたカバンを後ろにぶん投げて僕はそう言った
トイレから戻ると、彼女は僕の読んでいた小説を眺めていた。
夕日に当たっている横顔がとても綺麗だったのを覚えている。
「その小説気になる?」
「わっ!びっくりした。戻ってたんですね‼︎
勝手に小説見てしまってすみません。
私、この小説大好きなんです!洋平さんもまさか読んでるなんて嬉しいです」
目がキラキラだった
僕が読んでいた小説は僕も大のお気に入りでもう何度読み返したかわからない。
しかし驚いた
この小説はかなりのマイナー作家でマイナー作品
それを彼女も好きなんて柄にもなく奇跡だと思った
「俺も大好きだよ。何度読み返したかわからない」
さらに彼女は幼子のような無邪気な顔になり
「この作品ってなんで売れてないのかわからないですよね??この作者の語彙力がハンパないってゆうか、、ってすみません!私の語彙力がっ、どう伝えればいいのかこの良さを」
「わかる!こんな表現が書ける小説家は見た事ない。あともう作者名が最高だよね!」
「「小野 説郎‼︎‼︎」」
ぷはっ
僕と彼女の距離が縮まるのは時間の問題だった