君と小脳と僕
僕たちは電車に乗っていた
あいにく席は空いていない
「ねえ、どこにいくの?」
彼女の問いに僕はまだ答えなかった
「着くまで内緒」
30分ほど電車に揺られ着いたのは海と山しかない田舎町
「ねぇ、めっちゃ田舎だけど目的地あってる?」
彼女は不安そうな顔で僕を見ている
「良いから着いてきてよ」
僕はまた彼女の手を引いたのだった
山の方へ向かい上がっていく
しっかり彼女の手を握っていた
その時緊張してきて会話はほぼなかったと思う
その時
「キャッ」
彼女はこけそうになり僕は彼女を支え抱きしめた形になった
とっさに抱きしめてしまったが、状況を把握し顔が熱くなる
「ごめん、とっさに、、、」
「こっちこそごめん!私鈍臭くて、、」
「気を付けなよ?もうそこだから、行こう」
今思えばこの時くらいからおかしかったんだ
この頃の彼女はよく躓いていた
正確には何かに躓いていた訳ではなかった
どうして僕は何も気付いてあげられなかったんだろう