【短】It is a kiss, and it is not a kiss.
「那湖〜!!芯〜!!ケーキ食べるでしょ〜?」


一階からお母さんの声




「……ケーキだって。行こっか?」


あたしは立ち上がった。


「待って」


芯があたしの手首を掴んだ。




「……那湖が泣いたのって俺のせい?」


「え…?」


「やっぱ嫌なんだろ?」


芯の言葉が理解できずに、あたしは立ち尽くしてた。


「ごめんな…」


そう一言だけ言った芯は、あたしよりも先に部屋を出て行った。




何で言葉が出てこなかったんだろう…。


キスは嫌なんかじゃない、そう言いたいのに…。


あたしの涙に芯が謝る必要はないのに…。




臆病すぎるあたし。




芯の切なそうな顔が…頭からはなれない。
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