ボクは初恋をまだ、知らない。
♢ボクはボク。

「千影ってなんで自分の事、
ボクって呼ぶんだ?」

そんな疑問を生まれて初めて投げかけられたのは、小学生の頃。
ムードメーカーなクラスメイトの風見啓介くんが
教室の掃除中に箒を野球のバットみたいに扱いながら、単刀直入に聞いてきた。

「………え?変かな?ボクはボクだから、
ボクって呼ぶんだけど。」

ちりとり係をしていたボクは、淡々とした返事をすると、風見くんは箒を今度は杖のように持って
話を続けてきた。

「なんだそれ?ボクって言うのはなー!
普通は男の子が使うんだぞ?」

クラスで目立つ存在な彼とは対照的に、
影も薄めで大人しかったボクは
今話しかけられてる事自体にびっくりしたし、
正直どうゆうつもりで聞いてきたんだろう?と
不思議でしょうがなかった。

「……ボクは、
女の子だからとか、男の子だからとか
そんな風に考えるのはあまり好きぢゃないんだ。」

単刀直入に聞かれたから、ストレートに思ってる
事を伝えると、彼らしくないキョトンとした表情。

「…へぇ。
千影って変わってるけど、
しっかり自分を持ってるんだな!」

ニカッと爽快に笑った風見くんの笑顔からは、
ボクをバカにするでもなく、
"ありのまま"の人だと感じた。

それ以来、風見啓介は
ボクの理解者であり、長い関係を築いてく
親友になったんだ……。

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