ボクは初恋をまだ、知らない。
啓介のその言葉に、耳を疑った…。
「ある訳ないだろ」とか想像してたのに。

「え…まぢ?……いつ?」

あたしがそう聞くと、啓介は真顔で答えた。

「中学上がった時。
制服でスカート姿見たからかもな。
…なんだ薫?俺、おかしい事言ってるか?」

「え?あ、いや…ぢゃあつまり、
スカート姿見て改めて女の子だったって
思った位ってこと?」

「……そうゆう事だ。
とゆうか薫と翔もあるだろ?」

どうやら啓介のは、思春期の自然な流れの事だったらしい。
あたしと翔も、確かに似たような事はある。

「あったわね。…でも、あたしから見る啓介の千影への友情は親心も入ってるように見えるよ。」

「千影ってさ、親父さんからの愛情、
薄いんらしいんだわ。」

「だから、啓介がその分愛情表現してると?」

「そんな感じ。
なんかさ、翔もたまに俺の千影に対しての気持ち、異性としてのものと勘違いしてるからこないだ話したわ。」

「そうだったんだ…。」

「まぁでも。最近、たまに思うんだよな。
千影から子離れ?した方がいいのかなって。」

長い間、ずっとそばで千影を守り続けてきたんだろう。

啓介は、バカ単純で真っ直ぐなだけぢゃない。

あたし達の中で誰よりも千影を想っていて、
ちゃんと未来の事も考えてるその心意気は大人だなと素直に思った。

ー薫 vision end.ー







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