ボクは初恋をまだ、知らない。
るなと集会場所の部屋に入ると、
もう既に沢山の生徒が集まっていた。

後ろの方の空いてる席へ着いてしばらくすると、
太陽先生を追いかけていたメガネの中年の先生が部屋に入ってきた。

何処まで追いかけていたのだろう?
息を切らしながら必死に正常な声を取り戻しつつ、ボク達に話し始めた。

「デザイン科の諸君、入学おめでとう。
…私は、学長の朝日 雄三です。
これから2年、頑張ってくれたまえ。」

歳のせいかなかなか息切れが収まらず、
割とあっさりと隣の若い男の先生にマイクを渡した。

「デザイン科講師の浅村です。
これから君達の未来の為に精一杯調教していくつもりだ。よろしく。」

調教とゆう言葉に皆えぇーっと笑い声混じりの悲鳴が上がる。

「あの先生もかっこいいー!
ね?つっきーはどう思う?」

るながキャピキャピしながら聞いてくる。

「え?うん、まぁ確かにイケメン先生だね」

ボクはさっきの太陽先生を目で探したが、見当たらない。

「あれー?つっきーはさっきの太陽先生の方がお好みかい?」

るながそんなボクの様子を見て悪戯に言う。

「えっ!?ちがっ!さっき逃げてたみたいだから来ないのかなって思って!」

「ふーん?まぁ、つっきーの事、女ってすぐ分かった人だもんね。珍しいんぢゃない?」

「そうなんだよ。珍しいよ、あの一瞬で何で分かったんだろ?」

ボクは結局、集会の最後まで部屋を見渡したが、
太陽先生は最後まで現れなかった。

< 32 / 106 >

この作品をシェア

pagetop