ボクは初恋をまだ、知らない。
「ちょっとそのまま教壇で立ってて下さい!」

ボクは止まっていた手を動かし、
太陽先生の髪色を見ながらスルスルとペンをデザイン画に走らせた。

「…例の課題か?熱心だな。
大体みんな最初の課題は適当に済ますぞ?」

太陽先生は教壇に手をついて、
資料片手に止まっていてくれている。

「ボクは…妥協出来ないんです。
ましてや"これからの未来"なんてテーマ、
今キチンと決めておかなきゃ。」

「……真面目だな、月村は。」

「…太陽先生は、不真面目ですね。
集会も結局来なかったぢゃないですか。
何してたんです?」

太陽先生と初めてまともに話すとゆうのに、
生徒の身分であるにも関わらず、ついあの日の説教まがいな事を言ってしまった。

「俺に説教とは、いい度胸だ。
まぁ、今日から本格的に活動再開したがな。」

「……すみません。ボクが言う事ぢゃなかったですね。」

ペンを止めて謝ると、太陽先生は窓の外を見ながらさっきの俺様的態度とは違う、優しい口調で言った。

「…いや、いいんだ。
俺も色んな事から逃げていたからな。」

「……太陽先生?」

カーテンの後ろから、夕陽が零れる…。
暖かいその色は、まるで太陽先生の髪色の一部のように見えた…。

「…課題、出来たのか?」

先生がボクのデザイン画を見たそうにしていた。

「あ、はい。…おかげさまで。」

「俺の髪色を参考に描いたのが気になる。
見せてみろ。」

太陽先生は、腕を組んだまま、
ボクの席に近寄ってきた。

近くで見るほど、本当に綺麗な髪色だ。
こんな色、本当に出せるんだ…と、ボクは何気に感動さえしていた。

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