ボクは初恋をまだ、知らない。
課題提出の日。
教室内では皆その話題で持ちきりだった。

「どんなの描いた?」
「適当だよー。」

「私の見てー?」
「おー!オシャレー!」

お互いに見あったりする生徒がいる中で、
ボクは自分のデザイン画をボーッと眺めていた。

「お?つっきー個性派だねぇ。面白い!」

「るな。ありがとう。」

隣の席のるなが、ボクのデザイン画を覗いて言った。

「あたしのも見て!どう?」

るなのデザイン画は、女性らしい丸いフォルムのワンピースが描かれている。自己主張するかのようなハッキリとしたピンク色が印象的だ。

「るな、やっぱりピンク好きなんだね。
いいぢゃん、女性らしくて可愛いよ。」

「そうなの!無類のピンク好き!
つっきーに褒められると嬉しいー!」

ニカッと無邪気に笑う、るなの笑顔は落ち着く。
花鳥風月で知った、皆の明るい笑顔を思い出す。

「あ、先生きたよ。るな、ちゃんと座って?」

小声で諭すと、るなはシャキッと姿勢を整えた。

「うっす!皆、課題出来たか?
集めるから後ろから回してって。」

今日も太陽先生は、相変わらず適当な挨拶で始めた。

ボクはバーミリオンの髪色に見とれていると、
るなが小声で「あれ?」っと不思議そうに言った。

「どうしたの?」

「つっきーのさっきのデザイン画のスカートって、太陽先生の髪色と似てるね。」

友達の目とはいつだって、鋭い。

「あーそうそう。色がしっくり来なくて悩んでた時に太陽先生と会ってさ、これだって思ったんだよね。」

「へぇそうなんだ!なるほどー。ふふっ!
評価が楽しみだねぇ!」

るなはニヤニヤとボクを見てる。
絶対不謹慎な事考えてると思ったが、
敢えて突っ込まなかった。

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