ボクは初恋をまだ、知らない。
昼休み、るなに誘われて初めて校内の庭で昼食をとる事になった。

「今日は暖かいし!ここで食べよ!」

るんるんと両腕をパタつかせて、
るなは白い3人がけのベンチに座ってボクを招いた。

「外も気持ちいいね!春だしピクニック気分だ。」

うーんと両手を挙げて伸びのポーズをすると、
午前中頑張った肩の疲れが癒されていく。

お弁当箱を広げて食べ始めたボクらは、
辺りの景色を見渡した。

校舎近くの木陰で、女子3人組が楽しそうにランチをしている。その中に、太陽先生の姿もあった。

バーミリオンの髪色はどこに行っても目立っている。

「…太陽先生、人気者だよねー!」

るなもその光景に気づいたらしい。

「あ、やっぱりそうなんだ?
いつ見ても女の子が近くにいるきがしてた」

人気者の存在には、慣れてる方だと思う。
高校時代、いつも翔や啓介が傍にいたから。
だからむしろ懐かしい光景のように見えて、ボクは微笑んでいた。

「つっきーは高校の時、彼氏とかいたの?」

「え?!彼氏!?いやいやそんなのいなかったよ!だってボクずっとこんな感じだし!」

不意打ちの苦手な質問に、相変わらず焦りを見せたボクに、るなはぷぷっと笑った。

「つっきー可愛い!そうゆう表情するんだぁ。もしかして結構ウブでピュアなのかなぁー?」

「こらこらからかうなよーっ!」

しまった、失敗した…。
こうなるとこの先何度もからかわれるだろう事を経験上知っていてもこんな対応しか出来ない自分が恥ずかしい。

「つっきーの新たな一面発見だねぇ。」

「そ!そうゆうるなはいたのか?彼氏」

「いるよー!現在進行形でね。」

「お付き合い継続中なのか。」

ボクは自分がその系統の質問をされるのは苦手だが、誰かの恋愛話を聞くのは好きなのだ。

「ねぇ、馴れ初めは?どれくらい付き合ってるの?」

興味津々でるなに聞くと、待ってました!と言わんばかりの顔をした。何気にこうゆう反応も好きなのだ。

「高2の時から。でも、あたしの片思い時期含めたら、もう4年かな。中学同じでずーっっと好きだったから頑張ったの。」

「へぇ…るなの一途な気持ちに応えたんだ。」

「そう!ライバル達の障害を追い抜いて勝ち取ったのだよ、あたしは!」

自慢げに語るるなが、逞しく見えた。
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