クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
シーーーーンと静まり返る教室。
怖くて顔をあげられないけれど、みんながこちらに視線を向けているのはなんとなくわかってしまった。
「篠原さん、どういうこと?」
クラスメイトの女の子にそう声をかけられて、ゆっくりと顔を上げると、
やはり、全員が私に注目していた。
私に声をかけたらしい女の子は前の席で腕を組んでいて、顎で黒板を指した。
え。な、なんだ。
恐る恐る、黒板へと顔を向ける。
「……っ、なに……これ」
黒板には、私が特別寮に入っていく姿や、出て行くところが、写真に撮られていて、それが何枚も雑に貼り付けられていた。
そして、写真の周りには、『父親 借金』とか『嘘つき』とか『貧乏人』とか、そんな言葉が大きくプリントされていた。
他にも色々と書いていたけれど、それ以上見たくなくて目を伏せる。