クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「うっ、……どうし、よう」
今寮に帰ってしまえば、明人さんと顔を合わせることになる。
昨日、明人さんにたくさん嬉しいことを言ってもらって「これからもここでもっと頑張ろう」って思えたのに。
そんな日の翌日にこんなことって……あんまりだ。
寮に帰ることも、あの教室に戻ることも絶対出来なくて、
私は、円に教えてもらったラウンジにトボトボと向かって、前に円と座った席に腰を下ろすと、朝礼が始まったことを知らせるチャイムがちょうど鳴った。
ただでさえ特別な編入だから、サボりなんて許されることじゃないけれど、もう自信がなくなってしまった。
あのみんなの視線、円のあの目だって……。
これからいくら頑張ったって受け入れてもらえるとはとても思えない。
「はぁ……」
テーブルに上半身を預けて、腕に顔を置いて目を瞑る。
今日の嫌なことだけ、全部夢だったらいいのに。