クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「転入生の篠原さんだ。篠原、自己紹介」


先生に促され、息を吸う。


「えっと、緑山高校から転校してきました。篠原ゆるです。よ、よろしくお願いします」


シーーーーン。


えっと……なんだか思っていたのと少し違うな。
転校生ってもっとざわざわするもんだと思っていたよ。


あ、いや、違うか、あれは漫画とか映画の世界で、しかも転入してきた子がすっごく可愛いかすっごくかっこいいかのとき限定……。


私みたいなのが転校してきたってそりゃなんともならないか。


「ミドリヤマ高校?聞いたことないんだけど」


クラスメイトの誰かがそういった。
おっ、やっと誰かが興味を持ってくれた。


「あ、えっと、緑山高校は────」


───ガシッ

っ?!


「さ、新しい教材、今日で全部配り終えないといけないからな〜、篠原とは休み時間に話しな〜」


前の学校の説明をしようとしたタイミングで先生は私の肩を掴んでからそういった。


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