クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「……別に許してほしいと思ってきたんじゃないから」


「えっ」


円の声に、手が止まる。


「私だってまだムカついてるし」


「……うん」


「うんって……」


円がため息混じりで呆れたようにそういう。


「そういうところが余計ムカつくんだって。なんで責めないの?ちょっとは自分の方が被害者だって怒れば?あんた、私のせいでみんなからあんな風に言われたのに……」


円が怒ってる理由が、てっきり早凪くんの事だと思ってたので、答えに戸惑ってしまう。


それに、今回のこと、考えれば考えるほど、窓からだけの責任じゃない。


「えっと、……そもそも、隠し通すことができた保証もないし。どんな形であれ、私が正式な仕方で星音に入っていないことは、いずれみんなに知られることだと思うし。それに、単純に……」


チラッと円の顔を見ると、バチっと目が合った。


「嬉しかったから。円が私に話しかけてくれたこと。たとえそれがどんな動機であろうと、あの時円に声をかけてもらえたこと、私はすごく嬉しかったから」


私がそういうと、円は目を見開いてから下唇を噛んで下を見た。


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