クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「ゆるの匂い、お気に入り」


そんなこと言えば私がなんでもいうことを聞くとでも思ってるのかな。



今のところ、聞いちゃってるからいけないんだけど。


早凪くんはそれだけ呟いて、それから少しして寝息を立て始めた。



まったく……。


それでも、一定の間隔で聞こえる彼の寝息は私の心を安心させて。


まぁ、いっか、なんて思わせる。



────ヒュンッ


「……っ!」


突然、強い風が吹いて、わずかにハンモックが揺れる。


そういえば、台風が近づいているってニュースで言ってたっけ。


もし急接近するとなると、このハンモックも片付けなきゃいけないよね。


そう思いながらも、早凪くんの香りに誘われて、私の瞼も重くなって。


まだ仕事途中なのに……。



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