クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。





「うわ〜今回の台風相当強いね〜」


夕飯を食べ終わったあと、窓の外をジッと見つめる翼くんは、シャッとカーテンを閉めた。


あれから数日、台風が急接近してきて、学校は臨時休校中。


アキさんは、台風が強くなる前にと、ご飯を作り終わってすぐに帰っていった。


普段はもう少しゆっくりしているんだけれど。


「あ、早凪くん、ハンモックとかテントとか大丈夫?」


彼が『秘密基地』なんていうもんだから、誰にもばれちゃいけないのかと思い、小声で尋ねる。


「あぁ、アキが片した」


「あっ、そうなんだ」


当たり前みたいにサラッと言った早凪くんだけど……早凪くんの私物をコックの明人さんに片付けさせるってどうなんだろうか。


相変わらず、マイペースで自由な人だ。


でも、あの場所が守られたことに安心している自分もいて。


何だかんだ好きなんだ。早凪くんの秘密基地。


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