クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
校門から校舎までの長い道を歩き終えて、パパからもらったメモの情報を頼りに、生徒玄関へと入る。
「うっわ……中もおしゃれ……」
吹き抜けの天井と広い階段が私を出迎えてくれた。
私の住んでる世界にこんなところが本当に存在するなんて……。
「あっ、時間」
私は慌てて、メモに書いてある『4階 理事長室』という文字だけを頼りに階段を上る。
学校にはまだ人っ子ひとりいない。
それも当然だ。時刻は朝の7時すぎ。
朝の4時に起きて、理事長が用意してくれたというタクシーに乗り込んで2時間。
正直すんごく眠いけど……。
こんなんでへこたれてたらこの先ダメだもんね。
両頬をパチンと軽く叩いてから階段を駆け上がり、4階の階段を上り終えると、すぐに『理事長室』というプレートが見えた。
あそこに、これからお世話になる理事長さんがいるんだ。
ん?
近くに人の気配がして、なんとなく廊下の外側にある大きなガラス窓に目を向けると──────。