クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「……今も?」


「うん。問題解いてる間はそれだけに集中できて、他の煩いごと気にしなくて済むから。気付いたら朝になってて。その分、太陽の光浴びたらバタッていっちゃうんだけど。薬も飲むんだけど、あんまり飲みたくなくて本当ひどい時だけ……」



「そうなんだ……」


初めて、早凪くんの口から聞いたこと。
まさか、私にこんな話をしてくれるとは思わず、ただただびっくりだけれど。


早凪くんがどんな悩みを抱えてて、どんな不安で眠れなくなっているのか、知りたいって思っちゃう。


ただのメイドが、深入りしちゃいけないこと、わかっているんだけれど。



ブォォ────



勉強机の斜め上にある、小さな窓が、ガタガタと動いて、風の不気味な音がする。


まるで、大男が叫んでるみたいな音と、ヒューヒューと女の人が泣いているみたいな音。


大きくなった今でも、少し怖くて。


隣に早凪くんがいることが心強い。


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