クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ゆる、怖い?」
「えっ……いや怖くは……」
「さっきから、外から音するたんびにビクッてしてるじゃん」
誤魔化そうとしたのに、早凪くんは痛いところをついてくる。
高校生にもなって、台風の音を怖がるなんて。
「俺も」
「へっ、」
─────ギュッ
突然、早凪くんが私の手を握ってきたので驚いて顔を上げる。
早凪……くん?
─────バチッ
っ?!
「えっ?!」
いきなり、目の前が真っ暗になる。
嘘……。
「て、停電?」
「……そう見たい」
そう言った早凪くんの手が、さらにギュッと私の手を握った。
外からは、ゴーゴーというすごい雨風の音。
まさか停電になるほどの台風だなんて……。