クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ど、どうしよう早凪くん」
何もかも真っ暗で身動きが取れない。
今、正直、早凪くんに手を握られててよかったと思ってる。
怖いけど、すごく心強い。
「早凪ー!ゆるちゃん!大丈夫?!」
ふたりでジッとしていると、ドアの向こうからバタバタと足音がしてから翼くんの声がする。
「わ、私たちは大丈夫っ」
「そっか。良かった〜。部屋、入るね」
翼くんはそう言って、ガチャとドアを開けると、スマホのライト機能であたりを照らしながら部屋に入ってきた。
そのうしろには瑛斗さんの姿も。
「早凪、ゆるちゃん、台風が落ち着くまではみんなでリビングにいよう」
いつもチャラチャラしてるようにしか見えない瑛斗さんが、真剣な表情をしてそういう。
「心配しなくても大丈夫だろうけど、万が一に備えて。家の中心にいた方が安全そうだし。ゆるちゃんの部屋、年季入ってるから、音とか余計ダイレクトに伝わるでしょ?この様子だと復旧にも時間かかるかも」
「みんなでいた方が怖くないしね!」
翼くんの優しい明るい声で、不安が薄れていく。