クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


ギュッ


私にタオルケットを掛けながらその上から優しく抱きしめる早凪くん。


彼の優しい香りが、不安を溶かして少し安心させてくれる。


早凪くんの言うとおり、くっついている方が怖くない。


「そういえば、早凪くんも台風嫌いなの?」


自分が怖いばかりで、早凪くんの気持ちをまったく考えていなかったけど、今、少し冷静になると、さっき部屋で、早凪くんが『俺も』って言っていたのを思い出す。


「……うん、苦手」


後ろで小さく呟いた早凪くんが可愛くて、キュンとする。


さっきまで淡々としてたから、全然そう見えなかったけど、私のために、無理してくれてたのかな……。


「小学生の頃ね、父親のこと困らせようと思って、裏庭の倉庫に一人で隠れたことがあったんだ」


「えっ!」


今の早凪くんからは想像できない話しで、思わず大げさに声が出た。


お父さんのことを困らせようとして、自ら外に出て隠れるなんて意外だ。

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