クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「それからなんだ。夜になかなか眠れないことが増えて。夜中に目が覚めたりするともうダメで。あの時の倉庫の暗闇とか音がフラッシュバックして……」
少し声を落として話す早凪くんの弱々しい声を聞いて、思わず、身体に回された彼の腕を握る。
まさか、早凪くんがこんなことを抱えていたなんて。
「でも、今は違う」
「えっ?」
フッと笑って明るくなった早凪くんの声に驚いて聞き返す。
「今、ゆるが、俺の暗闇の思い出を上書きしてくれた」
「う、上書き?」
「暗いけど、ちゃんとあったかい。ここに太陽があるみたいに。ゆるは俺の太陽だね。これからは台風が来ても停電で真っ暗になっても今日のことを思い出す」
「えっ、いや、太陽って……」
「もっとあったかくなってもいいよ」
っ?!
「えっ、ちょっ、」
突然、私を抱きしめてる早凪くんの手が、私の腰のあたりに移動したかと思うと、首筋に、彼の吐息がかかった。
「さ、早凪くんっ!」
さっきまで、しんみりしててなんだか早凪くんが少し幼く見えて、可愛いなって思ってたのに。
油断してたらまたこれだ。