クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「莉々ちゃん、その子は特別寮の新しいメイドさんで篠原 ゆるちゃん」
慌てて追いかけてきたらしい明人さんが、息を整えながら私を紹介した。
「えー?新しいメイド?」
明らかに不満そうに口をとんがらせる莉々ちゃんと呼ばれてる女の子。
「ゆるちゃん、この子は、えっと早凪のいとこの、羽富 莉々ちゃん」
はとみ……りりちゃん。
早凪くんの、いとこ……。
明人さんに紹介された私は、座ったまま、ぺこりと軽く彼女に会釈する。
「ってかごめんね、ゆるちゃん!昨日!あのあとあんまり部屋が暗いもんだから、そのまま俺たち、寝ちゃってさ……まさかふたりがこんなところにいるなんて」
と申し訳なさそうに誤る瑛斗さん。
「あ、いえ……ドアが中から開かなくて」
「うわーやっぱり壊れてたかこのドア。前から調子悪いなとは思ってたんだけど、あとで直すか……」
と頭をかく明人さん。
「っていうか!ゆるちゃん大丈夫なの?!早凪と密室でふたりきりとか!何もされなかった?!」
心配そうに駆け寄ってくる翼くん。
「え、いや……」