クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
何もされなかったわけじゃないから、答えを濁してしまった。
昨日の密着具合を思い出して、急に顔が熱くなる。
いくら台風が怖かったとはいえ、一晩中くっついて寝ていたなんて。
「は?!なに?あんた早凪のなんなのよ!」
「え、いや、私は……」
突然の見知らぬ女の子の登場にただでさえ戸惑っているのに、威圧的にこっちを見てる彼女の目が怖くて目をそらす。
「あれ……莉々、なんで?」
っ?!
「早凪!やっと起きた!莉々、今年も早凪に会いに来たよ!」
羽富莉々さんが目をキラキラさせながら、ゆっくりと瞼を開けた早凪くんにそういう。
『莉々』
早凪くんが、彼女のことをそう名前で呼んだのを聞いて、なぜだか胸がチクッとする。
「よし、早凪も起きたことだしとりあえずみんなリビングで話そう」
明人さんのその声で、私たちはリビングへと移動した。