クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「莉々ちゃんは、毎年、夏になると早凪に会いに来てるらしくて、去年特別寮に早凪が入ってからは、莉々ちゃんだけ特別に、客室に泊まってるんだ」
「えっ……泊まっ……」
隣の瑛斗さんのセリフに、言葉に詰まってしまった。
だって……。
特別寮は基本、寮生以外立ち入り禁止なはずで。
私だって本来いけないはずだけど、メイドとして異例で……。
なのに、なんで羽富さんだけそんな特別扱いを?
「そうよ!毎年、莉々と早凪はラブラブなサマーバケーションを過ごしているの!」
毛先がくるんと跳ねたツインテールを揺らしながら、羽富さんが早凪くんに抱きついた。
えっ……ラブラブって……。
「莉々、痛い」
抱きしめられてる早凪くんはあまり嫌そうな感じじゃなくて、羽富さんの全てを受け入れてるみたい。
「早凪は莉々の王子さまだから、取らないでね?それ約束してくれるなら仲良くしてあげる!私のことは、莉々でいいよ!よろしくね、ゆる」
莉々ちゃんは、早凪くんを抱きしめる力をさらに強めてから、私にウィンクしてそう言った。