クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「莉々ちゃんは、毎年、夏になると早凪に会いに来てるらしくて、去年特別寮に早凪が入ってからは、莉々ちゃんだけ特別に、客室に泊まってるんだ」


「えっ……泊まっ……」


隣の瑛斗さんのセリフに、言葉に詰まってしまった。


だって……。


特別寮は基本、寮生以外立ち入り禁止なはずで。
私だって本来いけないはずだけど、メイドとして異例で……。


なのに、なんで羽富さんだけそんな特別扱いを?


「そうよ!毎年、莉々と早凪はラブラブなサマーバケーションを過ごしているの!」


毛先がくるんと跳ねたツインテールを揺らしながら、羽富さんが早凪くんに抱きついた。


えっ……ラブラブって……。


「莉々、痛い」


抱きしめられてる早凪くんはあまり嫌そうな感じじゃなくて、羽富さんの全てを受け入れてるみたい。


「早凪は莉々の王子さまだから、取らないでね?それ約束してくれるなら仲良くしてあげる!私のことは、莉々でいいよ!よろしくね、ゆる」


莉々ちゃんは、早凪くんを抱きしめる力をさらに強めてから、私にウィンクしてそう言った。


< 218 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop