クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
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初めて会った子のことを、瞬時に『なんかやだな』って思ってしまった。
羽富 莉々ちゃん。
早凪くんのいとこで、一人っ子同士だったふたりは小さい頃からよく一緒に遊んでいたらしい。
でも、莉々ちゃんのお父さんの会社が、海外出店することが決まってから、莉々ちゃんはニューヨークに引っ越したとかなんとか。
正直、改めて、住む世界が違うことを実感して、後半のみんなの会話に参加することができなかった。
翼くんも瑛斗くんも、親が社長のお金持ち。
そうなると、莉々ちゃんとも話が合うらしくて、すごく楽しそうだった。
あんまり息苦しく感じて、私だけ早めに家を出て学校に向かった。
明人さんは私のことを気遣って玄関で「莉々ちゃんのこと先に話してなくてごめんね」って謝ってくれたけど。
特別寮でメイドとして働いて、みんなが優しいから、感覚が麻痺していた。
常に構われて声をかけられていたから、まるで自分も一員になったかのように。
実際、莉々ちゃんみたいな子が3人の輪の中にいてふさわしい。
私は所詮、ただのメイド。