クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


待ち伏せ……本当に人気なんだなぁ。


「でも、珍しいな。早凪が教室に行ったなんて」


「そうなんですか?」


そういえばクラスの子達も「教室で見られるなんて」って驚いていたっけ。


「あぁ。持病もあるからな〜。滅多に教室にはいかないんだよ。式典には絶対参加だから今日は始業式だけに出席したと思っていたけど」


「じ、持病?!」


「あ、いや、命に関わるとかそういうものじゃないよ。最近は薬でだいぶ良くなってるっていうから心配ないんだけど。夜、寝られないらしくて。朝方とか昼前に寝てるんだよね」


なるほど。
だから朝、あんなところで寝ていたんだ。


「不眠症、ですか?」


「うん。まぁ、本人の中で色々あるんだろうね。……そういえば、早凪の笑った顔なんて特に見たことないかもな」


笑ったことがない?


「え、えっと、笑いましたよ、彼」


「え?」


「今日、教室に来た時」


『でも……もう、見つかったんで』
彼はそう言って、私に不敵に微笑んだ。


あれを微笑みって言っていいのかわからないけど。
まったく笑わないわけではない。


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