クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ゆるのくせに生意気なことばっかり言うから」
「なにそれ……早凪くんはこういうことなんとも思わないでできるかもしれないけどね……!」
まるで『庶民でメイドの分際で』そんな風に言われてるようで、さらにムカッとしてしまった。
ムカついているのに胸の鼓動は収まらない。
バカみたいにドキドキして壊れそうなのに。
何度も、さっきの唇の感触を思い出しては、顔が熱くなって。
隠すように下を向く。
なんなの、こんなわけがわからない気持ち。
「……あ、瑛斗?うん、ゆる見つけた。みんなに伝えてて」
っ?!
顔を上げると、早凪くんはスマホを耳に当てて電話をしていた。
相手は瑛斗さんらしい。
「うん、俺はゆると2人で回ってるから。莉々のこと頼んだ、うん」
えっ?
聞き間違いかと思った。
でも、そう聞こえてしまった。
『俺はゆると2人で回ってるから』
『莉々のこと頼んだ』
いや、あんだけ莉々ちゃんのこと大事にしてるような人が、まさか、そんなこと、ね。