クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


まさかまさかと思っていると、電話を切った早凪くんが、とつぜん私の手を握った。


「えっ、ちょ、早凪くん?」


「ってことだから、行くよ。花火が始まるまであと30分しかないから、早足になるけど」


「な、何言って……早凪くんは早くみんなのところに行かなきゃ、莉々ちゃんだって、待ってる」


さっきまでイライラと不安でどうにかなっちゃいそうだったくせに、今は、本当に早凪くんとこれから2人で回れるのかと思うと嬉しくなってる自分がいるのに、


こんな時にも、莉々ちゃんの名前を自分で出しちゃうんだから。


単純なくせにどこかめんどくさいな、と自分で呆れてしまう。


「莉々には瑛斗たちがついてるから。門枝さんもいるし。本当は、今すぐゆるのこと部屋に連れて帰りたいの、うんと我慢してるんだから。回るの付き合ってよ」


「……えっ、」


あの、マイペースでめんどくさいことが嫌いそうな早凪くんが、自分から、回るの付き合ってって……。


いったいどういう風の吹き回しなんだ。


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