クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ハハッ、もうとってもいいよ」
早凪くんの許しがやっと出て、私はゆっくりとお面を顔から離す。
「早凪くんも、なにか被ってよ」
早凪くんのことだから乗ってこないに決まってると思いながらも、仕返しをしようと提案してみる。
「なにがいい?」
「え?」
「ゆるが選んでよ」
嘘……。
まさかあの早凪くんが、そんなこと言ってくるなんて!
一体どうしたっていうんだ。
「じゃあ……あれっ!」
そう言って指差したのは一番上にある、おかめのお面。
ひょっとこを渡されたんだ。
こっちだってそれなりの仕返しをするんだもん。
早凪くんは、なんの文句も言わずお面を手に取ると、スッとお面をかぶってこちらを見た。
「……どう」
「うっ、どうって……ふっ」
あんまりまっすぐこっちを見るもんだから、我慢できなくて思わず吹いてしまった。
早凪くんのスタイルの良さにアンバランスなおかめのお面。
面白いけれど、でもやっぱり、早凪くんのかっこよさは、変なお面をかぶっていても滲み出ちゃうらしい。