クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「笑ったね?さらに罰だよ?」


「え、どうして!そんなルール知らないよ!」


また勝手なことを言う早凪くんに慌ててそういう。


「そりゃそうでしょ。俺が今作ったルールだから」


「……なによそれ」


まったく……莉々ちゃんといるときはどこか大人っぽいから忘れかけてたけど、彼のマイペース発言は、今日も健在だ。


ふんっ、と早凪くんから目をそらして、目の前にあるお面がたくさん並んでるコーナーに目をやる。


こんな自由発言に、いちいち振り回される私も私だよ。


「ねぇ、ゆる」


「……っ、なに?」


顔を見ないまま、隣の声に反応する。


すると、フワッと優しい香りが鼻をかすめて、肩に手が添えられて耳元に息がかかった。



「……今日のゆる、すげぇ可愛いよ」


「……っ?!」


早凪くんの吐息が、耳にかかって、一気に身体中が熱くなって。


彼の少し低くなった声を聞いただけで、バクンと心臓が大きく音を立てた。


ほんっと……こんなことを不意打ちでやってくるんだもん。


ずるいよ……。


< 296 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop