クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「笑ったね?さらに罰だよ?」
「え、どうして!そんなルール知らないよ!」
また勝手なことを言う早凪くんに慌ててそういう。
「そりゃそうでしょ。俺が今作ったルールだから」
「……なによそれ」
まったく……莉々ちゃんといるときはどこか大人っぽいから忘れかけてたけど、彼のマイペース発言は、今日も健在だ。
ふんっ、と早凪くんから目をそらして、目の前にあるお面がたくさん並んでるコーナーに目をやる。
こんな自由発言に、いちいち振り回される私も私だよ。
「ねぇ、ゆる」
「……っ、なに?」
顔を見ないまま、隣の声に反応する。
すると、フワッと優しい香りが鼻をかすめて、肩に手が添えられて耳元に息がかかった。
「……今日のゆる、すげぇ可愛いよ」
「……っ?!」
早凪くんの吐息が、耳にかかって、一気に身体中が熱くなって。
彼の少し低くなった声を聞いただけで、バクンと心臓が大きく音を立てた。
ほんっと……こんなことを不意打ちでやってくるんだもん。
ずるいよ……。