クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
ゆっくりと顔を上げると、バチっと視線がぶつかって。
恥ずかしさが最高潮になる。
「真っ赤」
「……早凪くんが変なこと言うから」
「だから、変なことじゃないでしょ」
そう言った彼の手が私の頬に伸びてきて、優しく撫でる。
……莉々ちゃんのことが、好きなくせに。
なんでこんなことに、してくるのよ。
「花火もうすぐだね」
どこからかそんな声が聞こえてきてハッとすると、早凪くんも私の頬から手を離してから「行こっか」っとだけ言って、花火がよく見える河原へと向かった。
*
「すごい人……」
「離さないでよ」
そう言って手をギュッと握りなおした早凪くんに、素直にコクンと頷く。
河原に着いてから、ちょうど2人が並んで立てる場所を確保して、花火が始まるのを待つ。
なんだかんだ、私、早凪くんと2人で花火見るんだな。
ほんの数十分前までは、落ち込んで仕方なかったのに。
「始まるぞ!」
誰かのそんな声がして顔をあげると、目の前に、ヒュ〜〜っと花火が上がり出すのが見えて。