クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
始まった。
────バーーーンッ
大きな花火がドーンと広がって。
キラキラと火花が水面へと散っていく。
すごい……。
今まで、家のアパートのベランダから、遠くの花火を眺めることしかなかったけれど。
初めて、こんなに間近で大きな音で、花火を見た。
綺麗だ。
すっごく綺麗。
勢いよく何度も打ち上がるたくさんの花火。
その迫力は圧巻で、その場にいたみんなが感動で声をあげる。
あまりの感動に、思わず握られていた手にギュッと力を込めて。
早凪くんと2人で同じ花火を見ていることにも、胸が熱くなって。
「綺麗だね、早凪くん」
花火の音と人の多さで、かき消されたかもしれないぐらいの声でそう呟くと、
「あぁ、こんな綺麗な花火初めて見た」
と、早凪くんが返してくれた。
早凪くんの声があんまり優しかったので驚いて思わず目線を向けると、早凪くんも私の視線を感じたのか、こちらを向いてくれて。
お互いの視線がふたたびぶつかる。